Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ことうのおに

孤島の鬼

江戸川 乱歩

Leggi 孤島の鬼 (ことうのおに) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 181.795 caratteri · 359 schermate

Aozora Bunko

だが、愚な私は、彼がその時、私以上に何事を悟っていたか、何がかくも彼を興奮させたか、その辺の事には、まるで気がつかなんだ。

「心臓の真中をたった一突きで殺していると云ったね。泥棒が見とがめられた為の仕業にしては、手際がよすぎる。ただ一突で人間を殺すなんて、何でもない様だが、余程の手練がなくては出来るものではないのだよ。それに、出入りした跡の全くないこと、指紋の残っていないこと、何というすばらしい手際だ」彼は讃嘆する様に云った。「だが、そんなことよりも、もっと恐ろしいのは、チョコレートの罐のなくなっていた事だ。俺にもまだ、何故そんなものが紛失したのだか、はっきり見当がつかぬけれど、何だかただ事でない感じがするんだ。そこにゾーッとする様なものがあるんだ。それに初代の三晩も見たというよぼよぼの老人……」

彼は言葉尻をにごして、黙ってしまった。

私達はてんでの考えに耽って、じっと目を見合わせていた。窓の外には、昼過ぎたばかりの日光がキラキラと輝いていたが、室の中は、妙にうそ寒い感じだった。

「あなたも、初代の母親には疑うべき点はないと思いますか」

私は一寸深山木の考えをただして置きたかったので、それを聞いて見た。