Classici giapponesi con furigana
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たぬきじる
完本 たぬき汁
佐藤 垢石
Leggi 完本 たぬき汁 (たぬきじる) di 佐藤 垢石 (さとうこうせき) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 133.158 caratteri · 273 schermate
謝礼など貰おうとは思っていないと頑張るのだ。私はその美しい心に感激した。ところで、立会の警官は少年に対して落とし主から拾い主が謝礼を貰うのは、国の定めとなっているから受け取らねばいかん、というので少年は渋々謝金を受け取ったような次第であった。そのとき私は少年に名を聞くと、木村義雄というものでいまはさる商業学校の夜学部へ通っているという。私は、こんな立派な精神を持っている少年なら必ず立派な将来を持つであろうと思ったから、学校を卒業したら朝鮮へ来てくれ、必ず就職の斡旋をするつもりであるから、といって別れたまま今日に及んだが、話はこれからである』と、この老紳士はなおも語を続けるのである。
四
『そのことがあってから二、三年たった。もう彼の美しい少年は学校を卒業した頃である、と考えていたが朝鮮へやっても来なければ手紙一本来ない。日夜少年の顔を眼に描いて、心待ちに待っていた。ところが大阪の新聞に専門棋士を七人抜いた天才少年棋士のことが載っていて、それがあの時の少年木村義雄と同姓同名であったのを見て私は不思議の感を催していたところ、それから一年後の年始状に将棋六段木村義雄と署名したのが届いた。