Classici giapponesi con furigana
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ちいさきりょうしん
小さき良心
Leggi 小さき良心 (ちいさきりょうしん) di Kajii Motojirō (梶井 基次郎) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 5366 caratteri · 11 schermate
直ぐ行くと云ったものの、直ぐには行けないようになってしまった。撲ったのはその酒場の前の石畳の上だった。Kはその気配におどろいただろう。その快くかたい音を同じように快くきいただろう。きいてどう思っただろう。あのKなら自分と同じ世界に住んでいる。自分はこんな荒んだ気持で下宿へは帰りたくない。あのKと今夜この不愉快な気持を語りたい。そして自分の心を少しでも明るい方へ向けたい。しかし直ぐあの酒場には行けない。あの怖しい男がそこで介抱をうけているかもしれない。
道は暗く、時刻も分らなかった。しめきった家並は黒く寝しずまっている。心にはややゆとりが出来たが、足は前と同じ歩調ですたすたと歩いている。
ずっと先きを電車が過ぎった。この町はどこかわからない。一軒の家の軒に某検閲官御宿泊所という貼紙が白く見える。
光と人の目をおそれる心をはげまして電車道へ出た。そこは四条通りであった。人々があるいているのが楽しそうだ。
自分は何げない顔をして玩具屋の店頭に立って玩具をめききする。三重子ちゃんと四方子ちゃんに玩具を送ってやらねばならない。
美しい娘が母らしい人と歩いて来る。