Classici giapponesi con furigana
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こざくらひめものがたり
小桜姫物語
浅野 和三郎
Leggi 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) di 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 136.097 caratteri · 267 schermate
これから別の修行場へ連れてまいる……。』
或る日指導役のお爺さんからそう言い渡されましたが、実をいうと私の方でも近頃はそろそろ山に倦が来きて、どこぞ別のところへ移って見たいような気分がして居たのでございました。私は二つ返事でお爺さんの言葉に従いました。
引越しは例によって至極お手軽でございました。私が自身で持参したのはただ母の形見の守刀だけで、いざ出発と決った瞬間に、今まで住んで居た小屋も、器具類もすうっと消え失せ、その跡には早くも青々とした蘇苔が隙間なく蒸して居るのでした。何があっけないと申して、斯んなあっけない仕事はめったにあるものでなく、相当幽界の生活に慣れた私でさえ、いささか物足りなさを感じない訳にもまいりませんでした。
が、お爺さんの方では、何処に風が吹くと言った面持で、振り向きもせず、ずんずん先きへ立って歩るき出されましたので、私も黙ってその後に跟いてまいりますと、いつしか道が下り坂になり、くねくねした九十九折をあちらへ繞り、こちらへっている中に、何所ともなくすざまじい水音が響いてまいりました。
『お爺さま、あれは瀑布の音でございますか?』