Classici giapponesi con furigana
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こざくらひめものがたり
小桜姫物語
浅野 和三郎
Leggi 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) di 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 136.097 caratteri · 267 schermate
戸外は矢張り戸外らしく、私は直に何ともいえぬ朗かな気持になりました。それに一歩一歩と川の両岸がのんびりと開けて行き、そこら中にはきれいな野生の花が、所せきまで咲き匂っているのです。『まあ見事な百合の花……。』私は覚えずそう叫んで、巌間から首をさし出していた半開の姫百合を手折り、小娘のように頭髪に挿したりしました。
私がそうした無邪気な乙女心に戻っている最中でした、不図附近に人の気配がするのに気がついて、愕いて振り返って見ますと、一本の満開の山椿の木蔭に、年齢の頃はやっと十歳ばかりの美しい少女が、七十歳位と見ゆる白髪の老人に伴われて佇っていました。
『あれは山椿の精ではないかしら……。』
一たんはそう思いましたが、眼を定めてよくよく見ると、それは妖精でも何でもなく、矢張り人間の小供なのでした。その娘はよほど良い家柄の生れらしく、丸ポチャの愛くるしい顔にはどことなく気品が備わって居り、白練の下衣に薄い薄い肉色の上衣を襲ね、白のへこ帯を前で結んでだらりと垂れた様子と言ったら飛びつきたいほど優美でした。頭髪は項の辺で切って背後に下げ、足には分厚の草履を突かっけ、すべてがいかにも無造作で、どこをさがしても厭味のないのが、むしろ不思議な位でございました。