Classici giapponesi con furigana
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こざくらひめものがたり
小桜姫物語
浅野 和三郎
Leggi 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) di 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 136.097 caratteri · 267 schermate
私にとりてこんなしにくい話はめったにないのでございますから……。
だんだん事の次第をしらべますると、話はずっと遠い昔、私がまだ現世に生きて居た時代に遡るのでございます。前にもお話ししたとおり、良人の討死後私は所中そのお墓詣りを致しました。何にしろお墓の前へ行って瞑目すれば、必らず良人のありし日の面影がありありと眼に映るのでございますから、当時の私にとりてそれが何よりの心の慰めで、よほどの雨風でもない限り、めったに墓参を怠るようなことはないのでした。『今日も又お目にかかって来ようかしら……。』私としてはただそれ位のあっさりした心持で出掛けたまでのことでございました。この墓詣りは私が病の床につくまでざっと一年あまりもつづいたでございましょうか……。
ところが意外にもこの墓参が大へんに里人の感激の種子となったのでございます。『小櫻姫は本当に烈女の亀鑑だ。まだうら若い身でありながら再縁しようなどという心は微塵もなく、どこまでも三浦の殿様に操を立て通すとは見上げたものである。』そんな事を言いまして、途中で私とすれ違う時などは、土地の男も女も皆泪ぐんで、いつまでもいつまでも私の後姿を見送るのでございました。