Classici giapponesi con furigana
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こざくらひめものがたり
小桜姫物語
浅野 和三郎
Leggi 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) di 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 136.097 caratteri · 267 schermate
肌身離さず大切に所持してもらいます……。』
両眼に涙を一ぱい溜めて、赤心こめて渡された紀念の懐剣――それは刀身といい、又装具といい、まことに申分のない、立派なものでございましたが、しかし私に取りましては、懐剣そのものよりも、それがなつかしい母の形見であることが、他の何物にもかえられぬほど大切なのでございました。私は一生涯その懐剣を自分の魂と思って肌身に附けて居たのでした。
いよいよ私の病勢が重って、もうとても難しいと思われました時に、私は枕辺に坐って居られる母に向かって頼みました。『私の懐剣は何卒このまま私と一緒に棺の中に納めて戴きとうございますが……。』すると母は即座に私の願を容れて、『その通りにしてあげますから安心するように……。』と、私の耳元に口を寄せて力強く囁いてくださいました。
私がこちらの世界に眼を覚ました時に、私は不図右の事柄を想い出しました。『母はあんなに固く請合ってくだされたが、果して懐剣が遺骸と一緒に墓に収めてあるかしら……。』そう思うと私はどうしてもそれが気懸りで気懸りで耐らなくなりました。とうとう私はある日指導役のお爺様に一伍一什を物語り、『若しもあの懐剣が、私の墓に収めてあるものなら、どうぞこちらに取寄せて戴きたい。