Classici giapponesi con furigana
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しょうせつ えんちょう
小説 圓朝
正岡 容
Leggi 小説 圓朝 (しょうせつ えんちょう) di 正岡 容 (まさおかいるる) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 163.270 caratteri · 325 schermate
いかにも親しみ深げに圓太郎のほうへ省みたが、
「フム、フム……やっぱり高座が……フム忘れられない、いや結構です、おやりおやり、やるほうがいい」
肯きながらスポンといい音をさせて、凝った古代裂の煙草入れの筒を抜き、意気な彫りのある銀煙管を取り出した。いかにも芸人らしい物馴れた手付きで煙草を詰め、傍えの黒塗りの提げ煙草盆の火でしずかに喫いつけると、フーッと二、三度、うすむらさきの輪を吹いた。一事が万事いかにもあくの抜けた芸人々々した処置振り――そうした一挙一動一挙手一投足の末まで(親父の圓太郎にしてからがそうであるが――)が、小圓太にとってはいかにもピタリと己の血にかよう何かだった。見ているだけでスーッと胸のつかえが下りてきた。どこがどうというのじゃない、いいえそんな理屈でも何でもなくただもうもっともっとぬきさしのならない心の底の底のまた底から、ふるさとの声を聴くおもいがするのだった。
ここに――ここにこそ自分の心の故郷がある。ほんとうにいま何年ぶりかで(ああ何と永い永い年月だったろう、それは)空や水、水や空なる大津渡海へと放たれたこの自分自身だろう。