Classici giapponesi con furigana
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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
Leggi 山の憶い出 上 (ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)) di 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 284.014 caratteri · 565 schermate
蕎麦畑、麦畑などが有る。八時谷間の少し開けた処へ出た。じめじめした草原で、チゴザサ、アブラススキ、ヤマイ、ミズガヤツリなどが一面に叢生している。此処で路が二つに岐れる。右は何処までも川に沿うて行くらしい。これは篶竹取りの道だと兼て教えられていたので、左に登り初めると「右すす山道、左かんこうじぎょうしよ」(官行事業所ならん)と書いた札が立ててあった。若木の生い茂った尾根を半時間も登ったろう、小高い草山の頂上に立って来し方を顧みた。南正面に頗る立派な金字形をした大菩薩岳が雲の間から半身を現わしている外は、山らしい山は雲に掩われている。中にも奥仙丈方面に屯している積雲の大塊は、銀白の頭をもくもくと碧空に擡げて、絶えず擾乱を捲き起している風情、恰も百門の大砲を備えた一個軍団の兵が惨として驕らざる勢を示している。あれが若し押し寄せて来たら大変だという心配が起る。
此処から木立は全く尽きて短い笹の生えた鍋を伏せたような山が幾つか駢んで、道は其間に縦横に通じている。右には昨日登った唐松尾の連脈が草原の斜面を見せて、雲の中から穏かな線を引き下ろしている。左には同じ草原の細い山稜が直ぐ黒木を粧うて、縦に見る所為か奥深く霧の裡にぼうっと溶け込んでいる。