Classici giapponesi con furigana
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いけぶくろのみせ
山之口貘詩文集
山之口 貘
Leggi 山之口貘詩文集 (いけぶくろのみせ) di 山之口 貘 (やまのくちばく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 44.477 caratteri · 93 schermate
夏向きの一夜
争えないもので、顔までがいつのまにやらそういう顔つきになってしまったのであろう。夜は云うまでもないが、昼間でも、街を歩いていると、ぼくはよくおまわりさんから誰何されたのである。それはしかし、顔つきばかりのことではなく風体からしてそもそもぼく自身の生活を反映しているものなのであって、当時の流行語を借りて云えば、所謂、るんぺんと称されているところのもので、ぼくは路傍で暮らしているような状態にあったからなのである。そんなわけで、ぼくの顔つきや風体は、いかにも、誰何されるにふさわしくなっていたみたいであるが、誰何されることによって、別に、ひどい目に合わされたこともなければ、豚箱を経験したわけなのでもなかった。ところが、いつ、どんな勘違いをされて、どんなひどい目に合わされないとも限らないような、そうおもう一抹の不安がぼくにはあったのである。そんな気持を、ある日のこと、佐藤春夫氏に話すと、
「それならばぼくが証明書を書いてあげよう。」
ということになって、氏は、一枚の名刺にペンを動かしたが、やがて、その名刺をぼくに寄越して云った。
「もしも万一の場合は身柄を引受にぼくが出頭するよ。