Classici giapponesi con furigana
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いけぶくろのみせ
山之口貘詩文集
山之口 貘
Leggi 山之口貘詩文集 (いけぶくろのみせ) di 山之口 貘 (やまのくちばく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 44.477 caratteri · 93 schermate
「……ぼくの友人でやまのくちばくという詩人なんですがね。夜が明けるまでそこらで休ませておいてくれませんかね。そうですか、じゃすぐそちらへむけますからよろしくたのみます。」
詩人巡査は、受話器をおいた。
「日比谷公園だよ。」
かれはそう云って、帝国ホテル筋向いにある公園入口の交番へ行くようにとぼくにすすめたのである。
靴音の立たなくなるまで、擦れてしまった靴を引き摺って、指定の交番の近くまで来てみると、おまわりさんが歩道に出て待っていた。
「どうもすみませんですね。」
「こちらへいらっしゃい。」
おまわりさんはそう云って、公園のなかへぼくのことを案内した。
「このへんなら大丈夫でしょう。どうぞごゆっくりおやすみになって下さい。」
とあるベンチのところまで来ると、皮肉なほど馬鹿ていねいに、おまわりさんはそう云って、ぼくのことをそこに置き去りにした。おまわりさんの姿は、すぐに見えなくなったが、一寸の間は、砂利を踏むかれの跫音がきこえていた。
(「東京労働新聞」一九五〇年八月一〇日)