Classici giapponesi con furigana
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やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
Leggi 山彦乙女 (やまびこおとめ) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 126.360 caratteri · 251 schermate
――生れてきたこと、生きていることを、祝福したくなるようなもの。
――そして、彼でなければ、それは為し得ないし、彼のためにだけ、存在するようなもの。
そういうなにかが、有る筈であった。
しかしどうやらそれは、若さの空想でしかない、ということになりかかっていた。日々の単調な事務や、同じ役所の同僚たちが、現実に、その証拠を示していた。いつか、机を並べている、金井なにがしという同僚が、にやにや笑いながら、こんなことを云った。
――そんなにあせってもむだですよ、世間にはもっといろいろな生き方がある、第一歩から始めて、しだいに発展して、やがて実をむすぶ、というようなのがね。
――だがわれわれは始めから、目的地に立たされるわけです、いってみれば水のいっぱい詰った壜のようなもので、いま生活しているこの状態が、このままで終りまで続く、ここからさきにはなんにも無い、壜はいっぱいで、一滴の水を加えることもできないんですよ、まあゆっくりやるんですな。
そのとき半之助は答えた。
――誰も彼もが、その壜をごしょう大事に、持っているとは限らないでしょう、私なら、ときには中の水をぶちまける、くらいのことは、やってみたいですね。