Classici giapponesi con furigana
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やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
Leggi 山彦乙女 (やまびこおとめ) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 126.360 caratteri · 251 schermate
主馬はこう云って、神酒徳利のような形の、素焼の徳利から、とろりと重たげな、紫色をした液体を、半之助の盃に注いだ。盃も一般のとは変っていて、高坏に似て、足のついた、かなり大きなものである。
「葡萄酒じゃないか」
そっと香を嗅いでみて、半之助が訊いた。子供のじぶん、オランダ渡りだといって、進物に貰ったのを、父に少し飲まされたことがある、香も味も、それにほぼ似ているようであった。
「まあそういってもいいけれど、こいつはえびづる草といって、自然に生える山葡萄の実でかもしたんだ、仕込んでから十五年も経つそうで、延命長寿の薬酒だということだ」
「なが生きはごめんだね」
だが半之助は、舐めるように、それを味わった。淡い渋さと、とろりとなれた甘さが、舌を魅するように美味かった。
「庭、庭、……」主馬がとつぜん囁いた、「そっと見ろ、そっと、気づかれないように」
盃を口に当てながら、半之助は眼の隅でそちらを見た。
この家の召使だろう、町家ふうに袴をはいた、二人の若者が、三人の中老の武家を、案内して通るところだった。先頭の一人はわからないが、次は水野肥前守、うしろは大久保長門守。