Classici giapponesi con furigana
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ぎゅうじん
山月記・李陵 他九篇
Leggi 山月記・李陵 他九篇 (ぎゅうじん) di Nakajima Atsushi (中島 敦) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 41.608 caratteri · 84 schermate
するとその黒い少年が驚いた顔をして返辞をする。叔孫は一層驚いて、少年の名を問えば、「牛と申します」と答えた。
母子ともに即刻引取られ、少年は豎(小姓)の一人に加えられた。それ故、長じて後もこの牛に似た男は豎牛と呼ばれるのである。容貌に似合わず小才の利く男で、すこぶる役には立つが、いつも陰鬱な顔をして少年仲間の戯れにも加わらぬ。主人以外の者には笑顔一つ見せない。叔孫にはひどく可愛がられ、長じては叔孫家の家政一切の切廻しをするようになった。
眼の凹んだ・口の突出た・黒い顔は、ごく偶に笑うとひどく滑稽な愛嬌に富んだものに見える。こんな剽軽な顔付の男に悪企など出来そうもないという印象を与える。目上の者に見せるのはこの顔だ。仏頂面をして考え込む時の顔は、ちょっと人間離れのした怪奇な残忍さを呈する。儕輩の誰彼が恐れるのはこの顔だ。意識しないでも自然にこの二つの顔の使い分けが出来るらしい。
叔孫豹の信任は無限であったが、後嗣に直そうとは思っていない。秘事ないし執事としては無類と考えていたが、魯の名家の当主とは、その人品からしてもちょっと考えにくいのである。豎牛ももちろんそれは心得ている。