Classici giapponesi con furigana
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ぎゅうじん
山月記・李陵 他九篇
Leggi 山月記・李陵 他九篇 (ぎゅうじん) di Nakajima Atsushi (中島 敦) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 41.608 caratteri · 84 schermate
杜洩は牛と目を見合せ、眉をしかめながら、そっと室を出る。客が去ってから始めて、牛男の顔に会体の知れぬ笑が微かに浮かぶ。
餓と疲れの中に泣きながら、いつか病人はうとうとして夢を見た。いや、眠ったのではなく、幻覚を見ただけかも知れぬ。重苦しく淀んだ・不吉な予感に充ちた部屋の空気の中に、ただ一つ灯が音も無く燃えている。輝きの無い・いやに白っぽい光である。じっとそれを見ている中に、ひどく遠方に――十里も二十里も彼方にあるもののように感じられて来る。寝ている真上の天井が、いつかの夢の時と同じように、徐々に下降を始める。ゆっくりと、しかし確実に、上からの圧迫は加わる。逃れようにも足一つ動かせない。傍を見ると黒い牛男が立っている。救を求めても、今度は手を伸べてくれない。黙ってつッ立ったままにやりと笑う。絶望的な哀願をもう一度繰返すと、急に、慍ったような固い表情に変り、眉一つ動かさず凝乎と見下す。今や胸の真上に蔽いかぶさって来る真黒な重みに、最後の悲鳴を挙げた途端に、正気に返った。……
いつか夜に入ったと見え、暗い部屋の隅に白っぽい灯が一つともっている。今まで夢の中で見ていたのはやはりこの灯だったのかも知れない。