Classici giapponesi con furigana
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さこんのいかり
左近の怒り
Leggi 左近の怒り (さこんのいかり) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 47.454 caratteri · 95 schermate
「こまった人ね。あなたが疑り深くって追及がきびしいから、頭痛がしちゃった」
「頭痛がするのに、やさしい表情とおだやかな眼とでいつも微笑してらッしゃるから信用できなくなるのよ。どうして無理なさるの」
その言葉の終らぬうちに玉子の顔から微笑もやさしい表情も血の気までもひいてしまった。葉子はおどろいた。葉子の言葉にそれほどショックをうけたのだろうか。根は善良な、本当に心のやさしい人なのだろうか。
しかし、どうやら、そんな問題ではないらしい。玉子は胸をかきむしった。ベタベタと下へくずれた。そしてジュウタンを掻きむしるようにして這いはじめた。
「苦しい。お医者……」
玉子はききとれないような声で云った。そこまで見とどけると、オバサンはにわかに物も云わずに駈けだした。まもなく彼方で、
「ダンナさま。ダンナさま。奥さまが大変です。急病ですよ。お医者! お医者!」
声かぎり叫ぶのがきこえた。女中が三名なだれこんできた。やがてデップリふとった大男が静かな足どりで現れた。口ヒゲを生やしているのである。一目でそれと分る顔だ。余人は知らず、葉子にとっては一目でそれと分る顔だ。