Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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さこんのいかり

左近の怒り

坂口 安吾

Leggi 左近の怒り (さこんのいかり) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 47.454 caratteri · 95 schermate

Aozora Bunko

新聞や雑誌の写真でナジミの顔だ。そして葉子の毎日の仕事に最も関係の深い顔なのだ。住田嘉久馬であった。バクダン・メモの筆者である。

女中たちは葉子の寝台へ玉子をねかせた。しかし玉子はねていない。寝台の上を苦しみもだえて這いまわる。落ちそうになる。女中たちはそれを寝台の中央へ置きもどすのにかかりきっている。

「ジュウタンの上へ置くわけにもいかぬな」

住田は落付いた声でポツリと一言をもらしたが、ふりむいて静かに部屋をでていった。自動車が医者をつれてきた。いかにも田舎の医者然とした頼りないような人物だ。つづけさまに二十本ぐらい注射した。

「ふだんお脈を拝見しておれば特別に手当ての仕様もあるのですが、奥さまはゼンソクがおありですか」

「いいえ」

「とにかく強心剤をうちつづけましょう。発作がおさまってしまえば安心だと思いますが」

診察のヒマなどはない。這いつづけて苦しみもだえているのだから。医者はまた注射を打った。するとようやくいくらかおさまった様子である。住田はまたいつのまにか現れてジッと病人を見ていたが、

「落付いてきたね」

「ハ。どうやら。これだけ打って落付かなくてはちょッと重大ですが」