Classici giapponesi con furigana
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ばくまついしんかいこだん
幕末維新懐古談
高村 光雲
Leggi 幕末維新懐古談 (ばくまついしんかいこだん) di 高村 光雲 (たかむらこううん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 3921 caratteri · 8 schermate
私はどうしたのかと思って、その来意を尋ねると、「実はこれこれで……余り見兼ねた故、此店の師匠に知らせて上げたら、何んとかなるだろうと思い、わざわざやって来たんだが、師匠が留守とあってはどうもしようがない。これが明日、明後日と待っていられることではないのだから、今一刻をも争うというところだからね。だが、どうも仕方がない。さようなら」
そうその人はいいながら、帰ってしまいました。
この話を聞いて困ったのは私です。
どう所置をして好いか分らない。後刻ともいわさず、今が今という速急な話……こうして困じ果てて考えている時間さえも今の人の話の容子では危ないほどのこと……ハテ、どうしたものかと考えた所で師匠は留守、帰りを待っている中には万事は休してしまう。これは実に困ったと真底から私は困り抜きました。
しかし、困ったといって、こうして腕を拱んで、阿呆見たいな顔はしていられない。どうにかしなければならないという気が何よりもまず先立って来る。あの百観音が今焼かれようとしている。灰にされようとしている。灰にされてしまったらどうなるのだ。……あの、平生から眼の底に滲み附いている百観音が……自分の唯一のお師匠さんだったあの彫刻が、今にも灰になろうとしている……、もう、今頃はあのお姿のどれかに火が点いているかも知れない。