Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひらがげんないとりものちょう

平賀源内捕物帳

久生 十蘭

Leggi 平賀源内捕物帳 (ひらがげんないとりものちょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.367 caratteri · 36 schermate

Aozora Bunko

「ご亭主、わしはな、急な用事でちょっと出かけて来るから、わしの荷物とこの供を預って貰います。では、ちょっと」

挨拶をするのももどかしそうに前のめりになって津国屋の門を飛出して行った。

それから二刻ばかり後、源内先生は淀川堤に沿った京街道を枚方の方へセッセと歩いて行く。何か余程気にかかることがあると見えて、時々思い出したようにブツブツと独言をいうかと思うと、急に立止って腕組をする。見るさえ気の重くなるようなようすである。

一面の萱葦原で長雨の後のことだからところどころ水浸しになり、葦の間でむぐっちょが鳴いている。

川の向うには緩い丘の起伏がつづき、吹田や味生の村々を指呼することが出来る。

源内先生は、堤の高みへ上り手庇をして、広い萱原をあちらこちらと眺めながら、

「先刻、聞いたところでは、もうそろそろ蘇州庵というのが見えねばならぬ筈だが、ただ一面、茫々の萱葦原。一筋道だから道に迷う筈もないのだが」

と、呟いていたが、それからまた一丁ばかり堤の上を歩いて行くと、赤松林の向うに緑青色の唐瓦を置いた棟の反った支那風の建物が見えて来た。檐に風鐸をつるし、丹塗の唐格子の嵌った丸窓があり、舗石の道が丸く刳ッた石門の中へずッと続いている。