Classici giapponesi con furigana
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げんかくき
幻覚記
豊島 与志雄
Leggi 幻覚記 (げんかくき) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4700 caratteri · 10 schermate
それらの客のうちに、私の好きな叔母さんがあった。美しい人で、言葉つきから挙措物腰まで静かで、笑顔までしとやかだった。何だか清く脆いという感じの人だった。――そういう印象を受けた中学生の私は、その人が大好きだった。
その叔母さんと、小学生の娘と、私の母と、四人で、晴朗な午後、自然の中を歩くのである。先ず八幡様と地蔵様とにお詣りをし、それから広い河原に行く。清い流れには小鮎や鮠がはねている。河原には、丸い小石のところもあれば、きらきらした砂のところもある。
叔母さんと母とは、即ち大人たちは、相並んで歩きながら、何の話もせず、黙ったままでいる。大人というものは、どうしてこう、黙って歩くのだろうと、それが私には不思議なのである。千代子――叔母さんの娘――に目くばせをすると、千代子も同感の目くばせを返す。少しおきゃんな気のかった、そして細そり痩せている娘なのだ。
「駆けっこしようか。」
「しましょう。」
ジャンケン……何のためかジャンケンをして、私たちは駆け出していく。
もう大人たちは、遠く後れて、見えなくなってしまう。私と千代子とは、駆けたり、草の上に転がったり、水にはいったり、疲れると千代子は私におぶさり、笑い戯れる……。