Classici giapponesi con furigana
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ざゆうだいいっぴん
座右第一品
上村 松園
Leggi 座右第一品 (ざゆうだいいっぴん) di 上村 松園 (うえむらしょうえん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 3182 caratteri · 7 schermate
縮図の帳面
もう大分と前の話ですが、裏ン町で火事があって火の子がパッパッと飛んで来て、どうにも手のつけようがないと思ったことがありました。火の手があまり急に強くなりましたので、家財道具を取り出すという余裕もありませず、イザ身一つで避難しようとします時、何ぞ手に提げて行けるほどの物でもと、そこらを見廻しながら、咄嗟のうちにこれをと思って大急ぎで風呂敷に包んだのは、長年の間に集まっている縮図と写生の帳面でした。
その時は、幸いにも大事になりませず、別に避難もしないで済んだわけですが、そうした急場で咄嗟の間に思い当らせられるほどに、縮図と写生の帳面は強い深い思い出を持たされて居ります。いろんな紙を自分で綴じて作った帳面ですから、形も不整いで大小があり厚薄がありますが、何十年かの間に積もり積って重ねましたら、二、三尺ぐらいの高さにもなるほどの嵩になって居ます。
今時とは違いまして、私の若い頃の女の絵の修業には、随分辛いことが沢山ありました。世間の目も同僚の仕打ちも、思わず涙の出ることが何度となくありました。そんな時は唯、今に思い知らしてやると、独り歯噛みして勉強々々と自分で自分に鞭打つより外に道はありませぬでした。