Classici giapponesi con furigana
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しきぶこうじ
式部小路
泉 鏡花
Leggi 式部小路 (しきぶこうじ) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 74.847 caratteri · 149 schermate
ただ我々に取っては、これを渡初めした最年長者より、もっと老朽ちた橋であるから、ついこの居まわりの、砂利場の砂利を積んで、荷車など重いのが通る時は、埃やら、砂やら、溌と立って、がたがたと揺れて曇る。が、それは大空を視むる目に、雲はじっとしていて、月が動くように見えると一般、橋の俤はうつろわず、あとはすぐに拭ったような空気の中に、洗った姿となるのである。
ちょうど今人の形のいろいろの雲が、はらはらとこの月の前を通り去った折からである。
橋の中央に、漆の色の新しい、黒塗の艶やかな、吾妻下駄を軽く留めて、今は散った、青柳の糸をそのまま、すらりと撫肩に、葉に綿入れた一枚小袖、帯に背負揚の紅は繻珍を彩る花ならん、しゃんと心なしのお太鼓結び。雪の襟脚、黒髪と水際立って、銀の平打の簪に透彫の紋所、撫子の露も垂れそう。後毛もない結立ての島田髷、背高く見ゆる衣紋つき、備わった品の可さ。留南奇の薫馥郁として、振を溢るる縮緬も、緋桃の燃ゆる春ならず、夕焼ながら芙蓉の花片、水に冷く映るかと、寂しらしく、独り悄れて彳んだ、一人の麗人あり。わざとか、櫛の飾もなく、白き元結一結。