Classici giapponesi con furigana
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かれ
彼
Leggi 彼 (かれ) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4980 caratteri · 11 schermate
彼の病室は日当りの悪い、透き間風の通る二階だった。彼はベッドに腰かけたまま、不相変元気に笑いなどした。が、文芸や社会科学のことはほとんど一言も話さなかった。
「僕はあの棕櫚の木を見る度に妙に同情したくなるんだがね。そら、あの上の葉っぱが動いているだろう。――」
棕櫚の木はつい硝子窓の外に木末の葉を吹かせていた。その葉はまた全体も揺らぎながら、細かに裂けた葉の先々をほとんど神経的に震わせていた。それは実際近代的なもの哀れを帯びたものに違いなかった。が、僕はこの病室にたった一人している彼のことを考え、出来るだけ陽気に返事をした。
「動いているね。何をくよくよ海べの棕櫚はさ。……」
「それから?」
「それでもうおしまいだよ。」
「何だつまらない。」
僕はこう云う対話の中にだんだん息苦しさを感じ出した。
「ジァン・クリストフは読んだかい?」
「ああ、少し読んだけれども、……」
「読みつづける気にはならなかったの?」
「どうもあれは旺盛すぎてね。」
僕はもう一度一生懸命に沈み勝ちな話を引き戻した。
「この間Kが見舞いに来たってね。」
「ああ、日帰りでやって来たよ。生体解剖の話や何かして行ったっけ。