Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かれ

彼

芥川 竜之介

Leggi 彼 (かれ) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4980 caratteri · 11 schermate

Aozora Bunko

」

「不愉快なやつだね。」

「どうして?」

「どうしてってこともないけれども。……」

僕等は夕飯をすませた後、ちょうど風の落ちたのを幸い、海岸へ散歩に出かけることにした。太陽はとうに沈んでいた。しかしまだあたりは明るかった。僕等は低い松の生えた砂丘の斜面に腰をおろし、海雀の二三羽飛んでいるのを見ながら、いろいろのことを話し合った。

「この砂はこんなに冷たいだろう。けれどもずっと手を入れて見給え。」

僕は彼の言葉の通り、弘法麦の枯れ枯れになった砂の中へ片手を差しこんで見た。するとそこには太陽の熱がまだかすかに残っていた。

「うん、ちょっと気味が悪いね。夜になってもやっぱり温いかしら。」

「何、すぐに冷たくなってしまう。」

僕はなぜかはっきりとこう云う対話を覚えている。それから僕等の半町ほど向うに黒ぐろと和んでいた太平洋も。……

六

彼の死んだ知らせを聞いたのはちょうど翌年の旧正月だった。何でも後に聞いた話によれば病院の医者や看護婦たちは旧正月を祝うために夜更けまで歌留多会をつづけていた。彼はその騒ぎに眠られないのを怒り、ベッドの上に横たわったまま、おお声に彼等を叱りつけた、と同時に大喀血をし、すぐに死んだとか云うことだった。