Classici giapponesi con furigana
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ふくいんさつじんじけん
復員殺人事件
Leggi 復員殺人事件 (ふくいんさつじんじけん) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 96.621 caratteri · 195 schermate
定夫の顔色は変らないが、語気がするどかった。
学校の成績はひどく悪かったというが、ボクシングの技術は正確でカンがよく非常にクレーバーだった。それは彼の性格に現れている。根は小心なのである。臆病だけれども図太く、冷酷惨忍で、やさしい感情をもっていなかった。彼の顔色からは心をよむことができない。人をくった顔ではない。ニコリともしない。いつも真剣で、リングにのぼっているような鋭い顔で応答し、まるでリングさばきのように、言葉をさばいているのだ。放胆のようだが冷静でチミツで考えられた言葉なのだ。
「あの御婦人のアドレスとお名前がききたいね」
「ききたいのはオレの方さ。どんな御婦人だか知らないが、ひとつ拝ませてもらおうじゃないか」
「おい。シラバックレるのは、いゝ加減によそうじゃないか。十八日の夜十時ごろ、小田原駅で誰を待っていたのだい」
「誰も待ってやしないさ。家へ帰るつもりで汽車を降りたが、家へ帰るのがイヤになったというワケさ。丹下左膳がいるからね。まさかその時間に、丹下左膳や起久子姉さんが殺されているとは知らなかったね。虫の知らせという奴だろう。変に胸さわぎがしやがるもんで、サテ東京へ戻ろうか、熱海へのして泊ろうか、ちょッと考えていたのさ」