Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ふくいんさつじんじけん

復員殺人事件

坂口 安吾

Leggi 復員殺人事件 (ふくいんさつじんじけん) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 96.621 caratteri · 195 schermate

Aozora Bunko

「あなたは安彦さんが公一兄さんを殺した犯人だと仰有いましたね」

「きまってるさ」

「なぜでしょう」

「殺人事件にきまったものを、自殺だなんてね。彼安彦氏はそう言う必要があったんだろう」

「それだけの理由ですか」

「キミ、ボクシングはどう拳を握るか知ってるかい。かならずオヤユビを外へだして握るものさ。素人はオヤユビを内側へ握るが、あれで強くブン殴ってごらんよ。オヤユビが骨折するぜ。オレは見て知っていたんだ。あの夕方、箱根口の方から歩いてきた安彦氏はオヤユビをさすっていたぜ。ネエ、キミ、オレはそのころから、ボクシングを稽古していたから、拳に対しては常に正確冷静な観察者だよ。彼氏、オレと顔を合せると、オヤユビをもむのをやめて何食わぬ顔で、肩をならべて陸橋をわたって家まで来たが、その後も彼はオヤユビがなんでもないようなフリをしていたが、オレの目をごまかすことは不可能さ。彼安彦氏はなぜオヤユビをいためたか」

「さすが。さすが」

巨勢博士はニコニコして定夫をほめた。

「バンタムに新人倉田ありと言われるだけのお方は、さすが生れながらにして、骨の髄からのボクサーですよ、まさに敬服の至りです」