Classici giapponesi con furigana
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ふくいんさつじんじけん
復員殺人事件
Leggi 復員殺人事件 (ふくいんさつじんじけん) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 96.621 caratteri · 195 schermate
警察医は大きなカバンをひッかき廻して、注射器とブドー糖を探しだして、五十プロを一本うった。この人は著名な開業医だが、警察医を趣味でやってる変り者で、深夜の事件も一向に厭わず、嬉々として仕事をたのしむ様子であった。由子の処置を終って、愈々大矢捜査主任がフトンをはいで、倉田由之をだき起した。
「倉田さん」
「ナニ」
由之は、目をあけた。あたりを見廻して、警官にとりかこまれているのを、鋭い視線でたしかめた。
「まア、よい。話は朝にしてくれたまえ。朝までグッスリ、ねむらせておいてもらいたい」
由之の口からアルコールの匂いがプンプンした。
「倉田さん、あなたは催眠薬をのんだのを覚えていますか」
「ワシは催眠薬などは用いたことがない。ねむる薬は酒だけでタクサンだね」
「ところが催眠薬をのんでいるのですよ。誰かに飲まされているのです。さもなければ、あなたのような武術家が、こんなにダラシなく眠たがる筈がないでしょう。そんな気が致しませんか」
「なるほど。そういえば、ねむすぎるようです」
由之はまだ無自覚なのかも知れなかった。然し、ともかく、理性がはたらきはじめたようであった。