Classici giapponesi con furigana
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しんれいのいだくきんかい
心霊の抱く金塊
大倉 燁子
Leggi 心霊の抱く金塊 (しんれいのいだくきんかい) di 大倉 燁子 (おおくらてるこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 2344 caratteri · 5 schermate
雨が降り出した、大つぶの雨が軒をうつ。博士は顎鬚をしごきながら、徐ろに語をついでいう。
「場所は日本アルプスの×××の麓の城趾である。無論所有者はない。皆さんも知っているであろうが、――甲州の金山から武田信玄が掘り出した莫大な金の行方が、今に分らない、何れどこかに隠してあるのだろうが、――世間で甲州の金山だなんて掘っているのは、ありゃ武田信玄の掘りッかす、つまり屑なんだ。屑だッて大したものなんだが――、当時、大望を懐いていた彼が密に準備をしておいた軍用金、――即ちその金塊は、人に知れないようにあるところに納っておき、時機を待っているうちに、死んでしまったのだ。
三百何十年この方、その金塊の所在地を人知れず研究した者は沢山ある。中途で匙を投げた人もあるけれど、今日までに探り当てた慾の深い行者などが凡そ二百何十人もあった、が、多くはその洞窟に入ったきり出て来ない。稀に出て来た者もあるが、悉く発狂しては死んでしまっている。その付近は魔の岩とよばれ、土地の人々からは怖れられているのだ。
私は霊媒を伴って行くのだから白昼は面白くない。殊に精神を統一させるのは人の寝静まった真夜中に限る。