Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
ただなおきょうぎょうじょうき
忠直卿行状記
菊池 寛
Leggi 忠直卿行状記 (ただなおきょうぎょうじょうき) di 菊池 寛 (きくちかん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 23.602 caratteri · 47 schermate
幼年時代からも、彼の意志と感情とは外部からはなんらの抑制も被らず、思うままに溢れていたのであった。彼は今までいかなることに与わっても人に劣り、人に負けたという記憶を持っていなかった。幼年時代に破魔弓の的を競えば、勝利者は必ず彼であった。福井の城下へも京の公卿が蹴鞠の戯れを伝えて、それが城中にもしばしば行われた時、最も巧みに蹴る者は彼であった。囲碁将棋双六というもてあそびものにおいても、彼は大抵の場合勝者であった。元より弓馬槍剣といったような武士に必須な技術においては、彼の技量はたちまちに上達して、最初同格であった近習たちをぐんぐん追い越して、家中においてその道に名誉の若武者たちにも、たちまちに打ち勝つほどの上達を示すのを常とした。
こうして、周囲の者に対する彼の優越感情は年と共に培われて来た。そして、自分は家臣共からはまったく質の違った優良な人格者であるという確信を、心の奥深く養ってしまったのである。
が、忠直卿の心には、家中の人間の誰よりも立ち勝っているという確信はあるものの、今度大坂に出陣して以来は、功名を競う相手は、自分と同格な諸大名であるので、もしや自分が彼らの何人かに劣ってはいはしまいか、ことに武将としては最も本質的な職務たる戦争において、思わざる不覚を取りはしまいかと、少しく憂慮を懐かぬわけ