Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ただなおきょうぎょうじょうき

忠直卿行状記

菊池 寛

Leggi 忠直卿行状記 (ただなおきょうぎょうじょうき) di 菊池 寛 (きくちかん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 23.602 caratteri · 47 schermate

Aozora Bunko

、第3水準1-15-25)」という言葉が、まだ物足りぬようにさえ思われ出した。

彼は大坂城がまったく暮れてしまった空に、まだところどころ真紅に燃え盛っているのを見ながら、それを今日の自分の大功の表章として享楽しながら、しきりに大杯を重ねるのであった。

得意な上ずった感情のほかには、忠直卿の心には何物も残っていなかった。

越えて翌月の五日に城攻めに加わった諸侯が、京の二条城に群参した時に、家康は忠直卿の手を取りながら、

「御身が父、秀康世にありしほどは、よく我に忠孝を尽くしてくれたるわ、汝はまたこのたび諸軍に優れし軍忠を現したること、満足の至りじゃ。これによって感状を授けんと思えど、家門の中なればそれにも及ぶまい。わが本統のあらん限り、越前の家また磐石のごとく安泰じゃ」といいながら、秘蔵の初花の茶入を忠直卿に与えた。忠直卿はこの上なき面目を施して、諸大名の列座の中に自分の身の燦として光を放つごとく覚えた。彼は天下に欠くるものもないようなみち足りた感情が、胸のうちにむずむずと溢れてくるのを覚えた。元より彼の意志がなんらの制限を蒙らず、彼の感情が常に豊満していることは、決して今に始まったことではなかった。