Classici giapponesi con furigana
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あやしのやかた
怪しの館 短編
国枝 史郎
Leggi 怪しの館 短編 (あやしのやかた) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 81.915 caratteri · 165 schermate
明礬質のこの温泉は、清水以上に玲瓏としていて、入浴っている人の体を美しく見せた。胸が豊かで、膝から下の足が素直に延びているお蘭の体は、湯から出ている胸から上は瑪瑙色に映えていたが、胸から下は、白蝋のように蒼いまでに白く見えていた。お蘭は時々唇をとんがらせ、顔を上向け、眼の辺へかかって来る、絹糸のような湯気を吹き散らした。フーッと音を立てて吹くのであった。その動作は、罪のない子供の、屈托のない動作そのものであった。
フーッとまた吹いた。そうして笑った。
と、その時背後の方で物音がした。お蘭は振り返って見た。頬冠りをした一人の男が、階段の下に、行燈の光を背にして立っていた。
「まあ」
とお蘭は云った。
「それ妾の着物よ。どうするのさ」
男女混浴の湯殿へ、男がはいって来るに不思議はなかったが、その男が、衣裳棚の中へ脱ぎ入れてあったお蘭の着物を抱えていたので、そう云ったのであった。男は着物を棚の中へ返した。
「お湯へはいったらどう」
とお蘭は云った。
「お客様ね、何番さん?」
しかし男は返辞をしないで、暗い頬冠りの中から刺すような眼でお蘭を見詰めた。
「おかしな人ね。