Classici giapponesi con furigana
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あやしのやかた
怪しの館 短編
国枝 史郎
Leggi 怪しの館 短編 (あやしのやかた) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 81.915 caratteri · 165 schermate
すると有村俊斎様が、間もなく訪ねて参られました。
吉之助様と同じように、薩州様のご藩士で、勤王討幕の志士のお一人で、吉之助様の同士なのでございます。
「さて上人の扮装だが、何んとやつしたらよかろうのう」
と吉之助様はこうおっしゃって、人並より大きい切れ長の眼を、ご上人様へ据えられました。
すると側にいた俊斎様が、
「竹の笠に墨染めの腰衣、乞食坊主にやつしたらどうかな」
と、眉の迫った精悍な顔へ、こともなげの微笑を浮かべながら、そう吉之助様へおっしゃいました。
「それには上人は立派すぎるよ。神々しいほど気高いからのう」
「なるほど、優しくて婦人のようでもあるし」
「高僧の姿そのままで、駕籠に乗って行くが無難じゃろう」
「途中で疑がわれて身分を問われたら?」
「薩摩の出家じゃと申せばよか」
「それにしては言葉がちとな」
「師の坊は幼少より京都におわし、故郷に帰らねばとこう申せばよか」
「なるほど、上人の京訛りも、そう云えば疑がいなくなるじゃろう。それでもとやかく申す奴があったら、この有村たたっ切る」
「痴言申すな!」
と吉之助様が、その瞬間に恐ろしいお声で、こう俊斎様を叱咤なされました。