Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あやしのやかた

怪しの館 短編

国枝 史郎

Leggi 怪しの館 短編 (あやしのやかた) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 81.915 caratteri · 165 schermate

Aozora Bunko

そう吉之助様がおっしゃいました。

云われるままにご上人様が、つつましく船底へ横になりますと、吉之助様は自分の羽織を脱がれ、その上へ素早くお着せになり、

「さあ船夫いそいで船を出せ」

「駄目ですよ、出せませんねえ」

と、不意に一人の船夫が云って、

「なアおいお前たちそうじゃアないか」と、仲間の方へ顔を向けました。

するともう一人の若い船夫が、

「こんな深夜に坊様を乗せて、船を出すとは縁起が悪い。そうともよ船は出せねえ」と、合槌を打つように云ったものです。

「黙れ」と俊斎様はお怒りになり、鋭いしかし窃めた声で、「ぐずぐず申すとその分には置かんぞ。これ早く船を出せ!」

こうおっしゃって刀の柄へ、もう手をかけておられました。

でも船夫たちはますます図太く、

「へえ、斬るとおっしゃるので。ところがあっしたち斬られませんねえ。水の上ならこっちが得手で、刀を抜いてお斬りになるのが早いか、あっしたちが水へ飛び込むのが早いか、物は験だ、やってごらんなせえ」

「水へ飛び込んだらいよいよ得手だ、船なんかすぐにもひっくりかえして見せる」

と、こう口々に云うのでした。

「よか、まアまアそう申すな」