Classici giapponesi con furigana
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あやしのやかた
怪しの館 短編
国枝 史郎
Leggi 怪しの館 短編 (あやしのやかた) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 81.915 caratteri · 165 schermate
と、その時わたしの背後から、咳をする声が聞こえて来ました。
ふり返って見ますると五十歳ぐらいの、墨染めの法衣に黒の頭巾をかむった、気高いような尼僧様が数珠をつまぐりながら、しずかに歩いておるのでした。
「尼僧様」とわたしは声をかけました。「突然失礼ではございますが、あれに見えます土塀のかかったお屋敷は、どなた様のお屋敷でございましょうか?」
すると尼僧様はわたしを見、それから屋敷の方へ眼をやりましたが、
「あああのお屋敷でございますか、あれは世間普通のお方とは、交際もしなければ交際ってもくれない、特別の人のお屋敷なのですよ」
と、大変清らかな沈着なお声で、そうお答えくださいました。
「世間普通のお方と交際わない、特別のお方とおっしゃいますのは?」
「それはねえこうなのです。そのお方が何かを欲しいと思って、それを持っている人を見詰めた時、その人がそれを与えればよし、与えない時にはその人の身の上に、恐ろしい災難が落ちて来るという……」
「ああではとっつきなのでございますね」
「そう、ある土地ではとっつきと云い、あるところでは犬神ともいいます」
「犬神※(感嘆符疑問符、1-8-78)」とわたしは思わず叫びました。