Classici giapponesi con furigana
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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
Leggi 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) di 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 143.735 caratteri · 290 schermate
5
馬車は間もなく市街地に入った。柾葺屋根の家が虫食い歯のように空地を置いて、六間(約一〇・八メートル)道路の両側に十二、三軒ほど続くと、すぐにもう停車場だった。馬車は駅前の椴松のところで停まった。
汽車はもう時間が迫っていた。
「正勝! 蔦やに逃げられちゃ駄目よ。わたしが戻ってくるまでちゃんと看視していてね。すぐだから」
紀久子はそう言いながら、ひらりと馬車を降りた。そして、彼女は敬二郎を促し立てるようにして停車場の中へ入っていった。
「ちぇっ!」
正勝はそっぽを向いた。紀久子と敬二郎との後姿をじっと見詰めていた目を逸らして。
蔦代は兄の吐き出すようなその声に驚いて、顔を上げた。その頬には蛞蝓の這い跡のように、涙の跡が鈍く光っていた。
「蔦! おまえは馬鹿だなあ。馬車へなんか乗らなけりゃよかったじゃねえか」
「だって……」
「畑の中へでも、構わずどんどんと逃げていってしめえばよかったじゃねえか」
「そしたら、お嬢さまは兄さんに、捕まえておいで! っておっしゃるわ」
「馬鹿! おまえはおれのことを心配しているのか? おれのような馬鹿な兄貴のことなんか心配したって始まらねえぞ。