Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きょうふじょう

恐怖城 他5編

佐左木 俊郎

Leggi 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) di 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 143.735 caratteri · 290 schermate

Aozora Bunko

あらゆるものを失ったとき、人間は勇敢になることもできれば捨て鉢になることもできる。

(正勝に会って最後の談判をしてみよう。それと同時に、紀久ちゃんの気持ちも分かるに相違ない。生か? 死か? それからだ)

敬二郎は固い決心をもって胸を顫わせながら、正勝の来るのを待った。彼は顔を伏せて、露台の上をこつこつと檻の中の熊のように歩き回った。胸が爛れているばかりでなく、彼の頭の中は火の玉のように激しい憎悪の炎でいっぱいだった。

「おれに何か用かい?」

突然に露台の下に来て、正勝は怒気を含んで大声に言った。敬二郎は驚きの表情で顔を上げた。正勝はその手に鞭を握っていた。

「用があるから呼んだのだ!」

敬二郎の目は正勝の手の鞭に走った。怒気と恐怖とを含んだ目? 敬二郎は爛々と目を輝かしながら、正勝をじっと見詰めた。

「何の用かね?」

正勝はとんとんと露台へ上がっていった。

「紀久ちゃんを勝手に呼び出したりするのは、よしてくれ!」

敬二郎は激しく心臓が弾んで、言葉が途切れた。

「きみにはいったい、そんなことを言う権利があるのか?」

「権利があるから言うんだ。紀久ちゃんは、ぼくと婚約している女だ。