Classici giapponesi con furigana
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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
Leggi 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) di 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 143.735 caratteri · 290 schermate
紀久子の声はしだいに啜り泣きになってきた。
「敬さん! わたしの本当の心が、すぐもうお目にかけられますわ。待っててね。わたし、これからあなたの遺言を実行していくわ。正勝になど、あの悪魔になど、塵一つだって与えませんわ。あなたのお言葉どおり、みんなみんな、父が事業を始めるときに移住してきた人たちへ、何もかも分けてやりますわ。わたしも手紙にそのことを書き残しておきましょう。そして、わたしももうすぐあなたのところへ行きますわ」
紀久子は啜り泣きながら言って、静かに身体を起こした。そして、紀久子は咽んで肩の辺りに波打たせながら、傍らの小卓の前に坐り直した。卓の上には、敬二郎の使い残しの紙と万年筆とがあった。紀久子は万年筆を取って、鶏が餌を拾うように首を動かしながら、啜り泣きながら、涙に曇ってくる目を幾度も幾度も押し拭いながら、一字一字を植え付けるようにして手紙を書いた。
書き終わると、紀久子はその手紙を敬二郎の遺書と一緒に重ねて畳んで、ふたたび帯の間に差し挟んだ。
「敬さん!」
紀久子はふたたび、敬二郎の死骸の上にどっと身体を投げかけた。
「敬さん! 許してね。