Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きょうふじょう

恐怖城 他5編

佐左木 俊郎

Leggi 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) di 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 143.735 caratteri · 290 schermate

Aozora Bunko

正勝はストーブにぐっと手を翳しながら言うのだった。

「蔦はおれの妹だげっとも、それとこれとは別問題だし、あなたの場合は立派に正当防衛というもんだから」

しかし、紀久子は黙りつづけていた。

そこへ、婆やが紀久子の外套を持って戻ってきた。

「お嬢さまの着物、どこにあるんだか、一人で奥へ行くのもいやだし……」

婆やがあたふたと土間へ下りてきながら言った。

「外套のほうがいい」

正勝が大声に言った。

「肩のところへ血がついているようだから、警察が来るまでやはりこの寝巻を着ていたほうがいいだろう」

「それはそうだなあ」

牧夫の一人が、紀久子の肩のところへ目をやりながら言った。婆やは紀久子の後ろから外套を覆いかけて、そのまま牧夫たちの後ろに顫えながら立ち尽くした。

「婆やも前さ出て、当たったらいいじゃねえか?」

正勝は何事かを言っていなければ、耐えられない気持ちだった。

「お嬢さま! 本当になにも心配することなんかねえよ。あなたのは正当防衛なんだから」

「お嬢さまからすれば、親御の仇でもあるし……」

牧夫の一人は言った。

「親の仇なんてこたあいまの社会では通用しねえが、とにかく正当防衛だけは立派に成り立つのだから……」