Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あくにんのむすめ

悪人の娘

野村 胡堂

Leggi 悪人の娘 (あくにんのむすめ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.405 caratteri · 27 schermate

Aozora Bunko

これは又何んたる変りようでしょう、蝙蝠安を今様にしたような、安直な悪党が、双子縞の素袷に前下りの三尺帯のままながら、威風四方を払って、別人のように颯爽として居ります。

「ハッ恐れ入りました」

権堂と呼ばれた乞食体の男は、橋の上へ、ヘタヘタと坐ると、その上へ美しい娘の土岐子は、崩折れた芙蓉の花のように、気を喪って倒れてしまいました。

もう橋の上は野次馬で一パイ。

「コラコラ立っちゃいかん」

制止の警官が来ると無頼漢風の男はそれを小傍へ呼んで、

「これは予々捜索して居た、拐帯犯人の権堂賛之助です、本署へ電話をかけて護送の手続をして下さい」

「エッ、あの貯金魔の?」

警官が驚いたのも無理はありません。詐欺貯金で数百万円の金を細民から絞り取った上、その経営して居る会社が破綻と見るや、幾十万人の怨みと嘆きを後に、回収の出来るだけの現金有価証券、併せて百万円余を取りこんで、そのまま姿を隠した有名な貯金魔だったのです。

「そう言うあなたは?」

警官の問に答えて、

「花房一郎といいます」

「あッ」

これが、――この冷酷無残の無頼漢が、――名探偵花房一郎とは思いもよりません、さすがの警官も驚きましたが、鳴海司郎の驚きは又一倍です。