Classici giapponesi con furigana
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あくにんのむすめ
悪人の娘
野村 胡堂
Leggi 悪人の娘 (あくにんのむすめ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.405 caratteri · 27 schermate
一言も漏しません。
「私はこの通り腰弁で、大した事は出来ませんが、お金ですむ事なら、八所借りをしても間に合せましょう――そんな事ではありませんか?」
というと、
「イイエ」
子供らしくかぶりをさえ振ります。
「力なら智恵よりは沢山持ち合せて居ますが、まさか力づくですむような事では無いでしょうネ……」
「イイエ、そんな事では御座いません」
「では矢張り、気に入らぬ縁談事という様な――」
「イエイエ」
さすがに赤い顔をした様ですが、猛烈に頭を振るところを見ると、年頃の娘らしい、色恋というわけでも無いようです。
「どうぞ、何んにも聴かずに置いて下さい、私も……もう……死ぬ気になどはなりませんから」
そう言うのが精一杯、灯に背いた美しい睫毛に、真珠のような涙さえ宿して居ります。
何時までも橋の上に居るわけには行きませんので、娘を促して、下谷の方へたどり乍ら、いろいろ問いただして見ましたが、死ぬ気になった原因は愚か、自分の名前も、家も、何にも明かしてはくれません。
そのくせ、別に鳴海司郎を怖がってるわけでも、嫌ってるわけでも無いようです。
「これは容易ならん事件らしいぞ」