Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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せんじょう

戦場

夢野 久作

Leggi 戦場 (せんじょう) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 25.769 caratteri · 51 schermate

Aozora Bunko

そのオルケストラの中から後送されて来る演奏済みの楽譜……死傷者の夥しさ。まだ日の暮れない中に半分、もしくは零になりかけている霊魂の呻吟が、私達の居る白樺の林の中から溢れ出して、私を無限の強迫観念の中に引包んでしまった。

中央の大キャムプと、その周囲を取巻く小キャムプは無論超満員で、溢れ出したものは遅く上って来た半欠けの月と零下二十度近い、霜の氷り付いた黒土原の上に、眼も遥かに投出されたままになっている。私も最初の中は数名の部下を指揮して、それぞれの手当に熱中していたが、終いには熱中のあまり助手と離れ離れになって、各自に何百人かの患者を受持って独断専行で片付けなければならない状態に陥った。否……ことによると私が手当てをした人数は何千人に上るかも知れない。あとからあとから無限の感じの中へ忘却して行ったのだから……。

戦後、我独逸軍の衛生隊の完備していたことは方々で耳にして来たものであるが、そんな話を聞く度毎に、私は身体が縮まる思いがした。全くこの時は非道かった。手を消毒する薬液は愚か、血を洗う水さえ取りに行く隙が無かったので、私の両手の指は真黒く乾固まった血の手袋のために、折曲りが利かなくなった。