Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

げさくざんまい

戯作三昧

芥川 竜之介

Leggi 戯作三昧 (げさくざんまい) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 20.807 caratteri · 42 schermate

Aozora Bunko

」

しかし風呂の中ではさっきの男が、まだ馬琴がいるとでも思うのか、依然として猛烈なフィリッピクスを発しつづけている。ことによると、これはその眇に災いされて、彼の柘榴口をまたいで出る姿が、見えなかったからかも知れない。

五

しかし、銭湯を出た時の馬琴の気分は、沈んでいた。眇の毒舌は、少なくともこれだけの範囲で、確かに予期した成功を収め得たのである。彼は秋晴れの江戸の町を歩きながら、風呂の中で聞いた悪評を、いちいち彼の批評眼にかけて、綿密に点検した。そうして、それが、いかなる点から考えてみても、一顧の価のない愚論だという事実を、即座に証明することが出来た。が、それにもかかわらず、一度乱された彼の気分は、容易に元通り、落ち着きそうもない。

彼は不快な眼をあげて、両側の町家を眺めた。町家のものは、彼の気分とは没交渉に、皆その日の生計を励んでいる。だから「諸国銘葉」の柿色の暖簾、「本黄楊」の黄いろい櫛形の招牌、「駕籠」の掛行燈、「卜筮」の算木の旗、――そういうものが、無意味な一列を作って、ただ雑然と彼の眼底を通りすぎた。

「どうして己は、己の軽蔑している悪評に、こう煩わされるのだろう。