Classici giapponesi con furigana
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ゆびわ
指環
田中 貢太郎
Leggi 指環 (ゆびわ) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4002 caratteri · 9 schermate
ふと眼を覚ましてみると、電燈の光が微紅く室の中を照らしていた。謙蔵はびっくりして眼をった。彼は人のいない暗い空家の中へ入って寝ているので、もしや俺は夢でも見ているのではないかと思って、己の体に注意してみた。右枕に寝て右の手を横にのびのびと延ばし、左の手を胸のあたりに置いている己の姿が眼に映った。そのうえ駒下駄を裏合せにして新聞で包んで作った枕の痛みも頭にあって、たしかに宵に寝たままの姿であった。故郷の父親が病気になったと云う電報を遅く受取って、牛込の天神町へ往き、もう寝ていた先輩を起して旅費を借り、小石川原町の下宿へ帰るつもりで、十二時近くなって大日坂まで来たところで、大きな雨になったので、坂をあがりつめた処にあった家の簷下へ駈込んでみると、その戸口に半紙を貼ってあるのが見えた。それで煙草を喫む拍子にマッチの火で見ると、それは貸家の札であった。それに雨は急に晴れそうにもないし、汽車も翌日の午後でないと乗れないから、そこで一夜を明かすことにして雨戸に手をかけると、苦もなく明いたので、内へ入って寝たところであった。
彼は半身を起すように体を俯向けにして顔をあげた。