Classici giapponesi con furigana
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くろかべ
文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁
泉 鏡花
Leggi 文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁 (くろかべ) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 72.070 caratteri · 143 schermate
ました。
舷に手首を少し片肱をもたせて、じっと私を視たのが円髷の婦です、横に並んで銀杏返のが、手で浪を掻いていました。その時船は銀の色して、浜は颯と桃色に見えた。合歓の花の月夜です。――(やあ父さん――彼処に母さんと、よその姉さんが。……)――後々私は、何故、あの時、その船へ飛込まなかったろうと思う事が度々あります。世を儚む時、病に困んだ時、恋に離れた時です。……無論、船に入ろうとすれば、海に溺れたに相違ない。――彼処に母さんと、よその姉さんが、――そう言って濡縁に飛びついたのは、まだ死なない運命だったろう、と思います。
言うまでもありませんが、後妻のことは、其処でやめになりました。
可厭な、邪慳らしい、小母さんが行燈の影に来て坐っていましたもの。……」
俊之君は、話しかけて、少時思にふけったようであった。
「……その後、時を定めず、場所を択ばず、ともするとその二人の姿を見た事があるのです。何となく、これは前世から、私に附纏っている、女体の星のように思われます。――いえ、それも、世俗になずみ、所帯に煩わしく、家内もあるようになってからは、つい、忘れ勝……と言うよりも、思出さない事さえ稀で、偶に夢に視て、ああ、また(あの夢か。