Classici giapponesi con furigana
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くろかべ
文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁
泉 鏡花
Leggi 文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁 (くろかべ) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 72.070 caratteri · 143 schermate
霰ふる
一
一
若いのと、少し年の上なると……
この二人の婦人は、民也のためには宿世からの縁と見える。ふとした時、思いも懸けない処へ、夢のように姿を露わす――
ここで、夢のように、と云うものの、実際はそれが夢だった事もないではない。けれども、夢の方は、また……と思うだけで、取り留めもなく、すぐに陽炎の乱るる如く、記憶の裡から乱れて行く。
しかし目前、歴然とその二人を見たのは、何時になっても忘れぬ。峰を視めて、山の端に彳んだ時もあり、岸づたいに川船に乗って船頭もなしに流れて行くのを見たり、揃って、すっと抜けて、二人が床の間の柱から出て来た事もある。
民也は九ツ……十歳ばかりの時に、はじめて知って、三十を越すまでに、四度か五度は確に逢った。
これだと、随分中絶えして、久しいようではあるけれども、自分には、さまでたまさかのようには思えぬ。人は我が身体の一部分を、何年にも見ないで済ます場合が多いから……姿見に向わなければ、顔にも逢わないと同一かも知れぬ。
で、見なくっても、逢わないでも、忘れもせねば思出すまでもなく、何時も身に着いていると同様に、二個、二人の姿もまた、十年見なかろうが、逢わなかろうが、そんなに間を隔てたとは考えない。