Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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くろかべ

文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁

泉 鏡花

Leggi 文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁 (くろかべ) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 72.070 caratteri · 143 schermate

Aozora Bunko

――処へ、三人茶盆を中にして坐った様子は、いまに本堂で、志す精霊の読経が始りそうで何とも以て陰気な処へ、じとじと汗になるから堪りません……そこで、掃除の済まない座敷を、のそのそして、――右の廻縁へ立った始末で。……こう塩辛い、大沼を視めるうちに、山下の向う岸に、泥を食って沈んだ小船の、舷がささらになって、鯉ならまだしも、朝日奈が取組合った鰐の頤かと思うのを見つけたのも悲惨です。

山出しの女中が来て、どうぞお二階へ、――助かった、ここで翌朝まで辛抱するのかと断念めていたのに。――いや、階子段は、いま来た三崎街道よりずッと広い、見事なものです。三人撒いたように、ふらふらと上ると、上り口のまた広々とした板敷を、縁側へ廻る処で、白地の手拭の姉さんかぶりで、高箒を片手に襷がけで、刻足に出て行逢ったのがその優しい婦で、一寸手拭を取って会釈しながら、軽くすり抜けてトントンと、堅い段を下りて行くのが、あわただしい中にも、如何にも淑かで跫音が柔うございました。

何とも容子のいい、何処かさみしいが、目鼻立のきりりとした、帯腰がしまっていて、そして媚かしい、なり恰好は女中らしいが、すてきな年増だ。