Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 186.659 caratteri · 372 schermate
ひとつの城も、一軒の家も、かわりはない。この家は、ふいの災難にも、世の波にも、あらゆる意味で、たやすく潰れないものを持っていたのだ。
寄手の佐々成政は、野々村主水からの吉報をあてにして、城中に裏切りが起るか、或いは、打連れて降伏に出るかを――待ちくらしていたが、何の変化もないのみか、士気いよいよ粛として、塁を堅めている様子に、俄然、ふたたび総攻撃を起した。
すると、十二日の夜明け前。
「きのうの夕方。津幡のお城の空で、たしかに、のろしらしい煙が見えました。この末森のお城からは、余りに遠くて見えないでしょうが、大海川の辺では、よく見えました」
と、城外から危険を冒して、わざわざ報らせに来た一農夫があった。
「それこそ、お味方の来援にちがいない。金沢表の御人数が、津幡から、ここまで、来たぞという烽火知らせとおもわれる」
部将たちは、暗夜に光明を見たように、狂喜したが、助右衛門は、
「いやいや、にわかには信じ難い。万一、誤報であった時は、兵はみな落胆して、かえって、死守の勇気を失うであろう」
と、たしなめて、きびしい眉を、うごかしもしなかった。
ところが、夜が明けて、東に紅雲のたなびき始めた卯の刻ごろ。