Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 186.659 caratteri · 372 schermate
さらに感情の波長をひろげて、周囲を同調させ、世間大衆とも、共に歓び、共に悲しみ、共に暮して行こうとする――。
家康は、そうでない。彼も、衆臣と衆民を擁しているが、家康はつねに孤独であった。かれは生れながらにして、そういう質に出来ていた。独り苦しみに耐え、独り百年の計を按じ、独り痛心し、また独りひそかに楽しむところを持っていた。――ために、彼の、無表情に見える感情は、いつの場合も、皮膚の下にだけあった。だが、無表情とは、無感情のことではない。
むしろ、表に出さないそれは、秀吉などよりも、複雑で、多感であったといえるだろう。ただ、彼は、自己の感情の整理に、驚くべき綿密さをもっていた。これがすまないうちは、めったに、感情から行動へと、移行しないのが彼の常であった。
で、こんどの突発事件の初めにも、
(数正の、出奔!)
と、寝耳に水の急報をうけた刹那には、さすがの彼も、内心、ぎくとして、肝臓からにじみ出る不快な苦汁に、内臓の諸機能も揉めるような動悸をきざみ、一瞬、それが実にいやな顔いろになって、彼の面を通りすぎた。
けれど、唇からもれたのは、
(そうか。……)