Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 186.659 caratteri · 372 schermate
正妻の寧子に仕えている女たちは、三姫のうちでも、殊に、姉姫の茶々が、亡き母のお市の方にもまさる天質の美人なのに心をいためて、
(茶々のお方も、もう十八でございますもの。なんで上様が、ただ花生けの花のように、眺めてばかりいらっしゃいましょう)
などとそろそろ焚きつけ出しているが、寧子は、良人のこの持ち前を、井戸茶碗のキズと同じように、
(キズに珠――みたいなお人だから仕方がありませぬ)
と、あきらめ顔に、笑って見せ、周囲のお世話やき達の口にはなかなか乗らないのであった。
それというのも、かつては世間の女房なみに、ツノをたてたこともあって、長浜の城にいた頃、わざわざ手みやげなど持って、良人の主人である岐阜の信長の許へゆき、
(いちど、御主君さまから、たくのさもしい女あさりだけは止めよ、と御意見をして下さいますように)
と、手を廻してみたことがあるのである。ところが、その後、信長からの長い手紙を見ると、
(そなたは、女と生れて、めったにない男にめぐり合わせたのだ。めったにない男というものには、欠ける点もあろうが、よい所も大きい。ところが、大きな山ほど、山ふところに抱かれていると、山の大きさが分らないもの。