Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 200.320 caratteri · 398 schermate
やがて筑前どのが御登城の時刻も近づいて候うとある。信長は宗易をのこして天守閣へ立ち去った。
陽はたかく、冬の朝はあたたかに煙っている。木々の梢の氷花も露ときらめき、一望、安土の全市も、霜に濡れていた。
「ええ、ほウい」
「えーッ、ほウッ」
旺んな声が、麓の城門から聞えて来た。信長は眼をこらした。彼のそばには、簾中の女房衆もおり、子息たちもいた。もちろん近習小姓は居ならんで、みな朝陽のなかに眩ゆげな顔をそろえていた。
「やあ、あれか」
信長の嘆声だった。
今の信長をして、目をみはらせる程な物資は、けだし容易な物ではない。
その信長が、
「――見ずやあれを」
と、指さしながら、傍らの人々を顧みながらいうのである。
「何と、夥しい進物の台の数ではないか。あれがみな筑前の手みやげなりと彼は云いおる。中国入りのしるしまでに、携えて来た進物とは、いやさすがに、大気者大気者。あはははは」
実に愉快そうに信長は眺めて止まず、笑って止まなかった。
けれど、彼以外の人々は、ただ眼をうばわれていた。また、胆を飛ばしていた。
およそ、安土城が創まって以来の出来事にちがいない。山麓から目の下まで、かなり長い坂道の門から門のあいだは、後から後からと担い上げて来る、進物台の列でうずまったまま、いくら見ていても、列が終りそうもない程だった。